人と人をつなぐ「たすき」と
なり人事労務管理をサポート
にのだん社会保険労務士事務所だより「たすき」令和8年9月号(No.82)
【①令和8年 和歌山県最低賃金は1101円】
現時点では正式決定ではありませんが、令和8年10月3日から和歌山県の最低賃金は時間換算額1,101円に改定されることがほぼ決まりました。昨年の改定額から比較すると56円のアップとなります。
数字を伝えるのは簡単ですが、仮に1日8時間、月平均20日勤務のパートさんの場合、改定前の時給1,045円×月160時間なら月総額は167,200円、これが改定されたあとは月総額が176,160円と8,960円のアップとなり、年で換算すると107,520円の人件費アップになります。また労災保険料率が3/1000である場合は事業主負担約300円のアップ、雇用保険料率事業主負担が8.5/1000である場合は約900円のアップになります。(いずれも年換算)
そして社会保険料については標準報酬月額が1等級(今回の事例であれば170千円から180千円)変更した場合、事業主負担額は健康保険料、子ども子育て支援金、介護保険料、厚生年金保険料も含めると約18,000円のアップになります。(年換算)※今回の最低賃金アップと残業代等の非固定的賃金が重なった場合、結果社会保険料率が2等級以上のアップになれば、負担開始の時期も早まり、負担する社会保険料はさらに増える場合があります。
法律とは言え従業員さんの給与を上げざるを得ない状況は事業運営にとって重大な関心事です。あくまで事例での説明でしたが、支給額の負担のみならず加入する保険料の事業主負担もアップすることを当然想定する必要があります。
また単純に人件費アップを抑制するために従業員さんの意図に反して労働時間を少なくしたり、同意なく休みを増やしたりすることは「労働条件の不利益変更」というリスクが発生しますので安易な対策は避けるべきだと感じます。
正しい情報やアドバイスは専門家である社会保険労務士にご相談ください。また最低賃金のアップに関連した「業務改善助成金」のルール、申請に関するご相談はお気軽に「にのだん社会保険労務士事務所」までご相談ください。
【②職務分析・職務評価研修を終えて】
数年前から私は厚生労働省の委託事業である和歌山働き方改革推進支援センターにて事業所をサポートする専門家として登録されていますが、8月19日と20日の2日間、センターの推薦を受けて東京都品川で開催された「職務分析・職務評価応用研修」に参加しました。
全国から集まった社会保険労務士が事業所への訪問コンサルティングを通じて、人材不足、離職率の上昇、同一労働同一賃金といった人事労務に関する課題解決に大きな効果が期待出来る職務分析・職務評価を実践するスキルを高めるため、中身の濃い研修を経験することが出来ました。
職務分析とは、従業員が行う仕事は具体的にどんな内容なのか、そして職務の変更・勤務場所の変更・残業や休日労働の有無や責任の度合いなどを細かく洗い出す棚卸作業を言います。
職務評価とは、職務分析された従業員の職務内容について専門性や裁量性、対人関係、問題解決などの各項目を点数で評価した合計ポイント数を同じ職務をこなす従業員ごとに比較する作業を言います。※職務評価はその他様々な方法があります
今回、研修までに事前講習や練習問題を多数こなしたうえでの参加であったため、ある程度、職務分析・職務評価に関する基礎知識やコンサルティングを行う流れは理解出来ているつもりでしたが、いざ参加して研修のメインプログラムであった「ロールプレイング」を通じて自分の力不足を痛感することになりました。
グループをまとめる講師の先生が訪問先事業所の担当者役となり、職務分析・職務評価の訪問時の対応スキルを高めるため、単にテキストを読むだけではなく、実践形式のロールプレイングを何度も行いました。そのたびに言葉が詰まってしまい、事業所の担当者に職務分析・職務評価をする目的や価値を的確に伝えることが出来ませんでした。
先入観に囚われることなく、訪問を通じて事業所の情報を目で見て耳で聞き取り、その中で事業所の課題が何かを理解し、解決に向けたアドバイスを臨機応変に伝えることの重要性を今回の研修を通じて思い知らされました。
事業所様にとって人材が離れることは単に給料が安いから仕方ないで終わるのではなく、理由の本質には「正当な評価をしてくれない」「頑張りが報われない」「私だけ負担がかかっている」などが含まれているかもしれません。
職務を分析、棚卸することで、従業員の職務配分バランスに問題がみつかり、そこから正しい職務に対する再評価や職務の再配分、業務改善・業務効率につながるかもしれません。
~最後までお読み頂きありがとうございました~